5.営業キャッシュフローの作り方(買掛金・支払手形・棚卸資産)

5.買掛金・支払手形

売ると買うという立場の違いはありますが、キャッシュフロー計算書を作成する上で買掛金・支払手形の処理に係る基本的な考え方は売掛金・受取手形と同じです。

損益計算書上で計上される仕入高には買掛金や支払手形によって計上された仕入が含まれています。そのため、キャッシュフロー計算書では現実に資金流入のあった仕入になるようにキャッシュフロー計算書上、売掛金・受取手形と同様の調整を行います。

①期末買掛金が前期末買掛金より増加した場合(期首残高 0の場合)

買掛金の前期末残高0、当期末残高300、増減額300とします。

売掛金の期末残高増加は資金未回収の売上取消のため、キャッシュフロー計算書のマイナスとなりますが、(要は損益計算書の売上には計上したけれど、まだキャッシュは入ってきてないということでマイナスにするのです)

買掛金の期末残高増加は資金支払の仕入取消のため、キャッシュフロー計算書のプラスとなります。(こちらの方は損益計算書の仕入には計上したけれど、まだキャッシュは払ってないというとでプラスするわけです。)

(借)買掛金       300  (貸)仕入債務の増加額 (C/F)    300

キャッシュフロー計算書

税金等調整前当期純利益A

仕入債務の増加額+300 

営業活動によるキャッシュフロー A+300

仕入債務の増加は売上債権の場合と逆でキャッシュフロー計算書上プラスとなっていることに要注意。

② 期末買掛金が前期末買掛金より減少した場合(期末残高 0の場合)

買掛金の前期末残高が200で当期末残高が0、増減額が△200とします。

(借)仕入債務の減少額 (C/F)   200    (貸)買掛金       200

キャッシュフロー計算書

税金等調整前当期純利益A

仕入債務の減少額 △200

営業活動によるキャッシュフロー A-200

仕入債務の減少は売上債権の場合と逆でキャッシュフロー計算書上マイナスとなっていることに要注意!

③ ①と②の複合ケース

買掛金の前期末残高が200、当期末残高が300、増減額が100とします。

(CF仕訳)

期末買掛金が前期末買掛金より増加した場合

(借)買掛金         300  (貸)仕入債務の増加額(C/F)     300

期末買掛金が前期末買掛金より減少した場合は以下のようになります。

(借)仕入債務の減少額 (C/F)   100 (貸)買掛金       100

4.たな卸資産

(1)たな卸資産の基本的な考え方

前期末に比べ、当期末のたな卸資産が増加した場合、その増加したたな卸資産の分だけ資金の流出があった事を意味しますので、キャッシュフローのマイナスとして処理します。

また、期首の在庫は当期の売上原価に含めますが、前期に購入したものであるため、当期の資金の流出を伴いません。従って、前期末に比べ、当期末のたな卸資産が減少した場合、キャッシュフローのプラスとして処理します。

①期末たな卸資産が前期末棚卸資産より増加した場合(前期末残高 0 の場合)

たな卸資産の前期末残高が0、当期末残高が300、増減が300とします。

期末たな卸資産の増加に伴う資金の流出

(借)たな卸資産の増加額(C/F)      300 (貸)たな卸資産       300

② 期末たな卸資産が前期末たな卸資産より減少した場合(期末残高 0の場合)

たな卸資産の前期末残高が200、当期末残高0、増減が200とします。

当期売上原価に含まれる期首たな卸資産は前期購入(前期キャッシュアウト)のため、キャッシュフロー計算書上取り消す必要があります。

(借)たな卸資産       200(貸)たな卸資産の減少額(C/F)       200

③ ①と②の複合ケース

前期末   当期末  増減額

たな卸資産の前期末残高が200、当期末残高が300、増減が100とします。↓

(借)たな卸資産の増加額 (C/F) 100 (貸)たな卸資産     100

逆に、期末たな卸資産が期首たな卸資産より減少した場合は以下の様になります

(借)たな卸資産      100    (貸)たな卸資産の減少額(C/F) 100

(2)たな卸資産評価損が発生している場合

たな卸資産の場合、期末において評価損が発生する場合があります。その場合の会計上の仕訳は以下のようになります。

(借)たな卸資産評価損     100  (貸)たな卸資産      100

このたな卸資産評価損という科目も資金の流出を伴わない費用(いわゆる非資金費用)です。

売掛金の貸し倒れのところで触れたように、営業活動に係る資産及び負債に関連して発生した非資金項目は独立表示をしないというルールになっていますので、キャッシュフロー計算書上、たな卸資産評価損というような独立科目を用いてキャッシュの加算はいたしません。

当期末たな卸資産が前期末たな卸資産に対して増加していればキャッシュフロー計算書のマイナス、減少していればプラスと処理したします。

売掛金の貸倒処理と同様に、キャッシュフロー計算書の出発点となる損益計算書の税引前当期純利益はすでにたな卸資産評価損をマイナスした数字となっていますので、評価損による減少を通常のたな卸資産の減少と同じようにキャッシュフロー計算書のプラスとしても全体としてのキャッシュの動きは発生しないということになります。

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