13.投資活動によるキャッシュフローの作り方(貸付金・貸倒引当金)

3.貸付金

貸付金も貸付けによる支出と、貸付金の回収による収入とで、両建で表示する必要があります。以下のような設例で考えます。

 期首残高   貸 付   回 収  貸 倒  期末残高
短期貸付金    100    250    150   ―    200
長期貸付金    500    600    400    100    600

(1)貸付による支出

(借)貸付けによる支出(C/F) 850  (貸)貸 付 金       850

(2)貸付金の回収による収入

(借)貸 付 金    550  (貸)貸付金の回収による収入(C/F) 550

(3)貸倒れた場合(貸倒損失で処理した場合)

営業債権に関連して発生した貸倒損失は、独立表示させずに営業債権の減少額に含めて自動調整することは、2.売掛金―受取手形の項目で説明いたしました。

貸付金が貸倒れた場合は、貸付金は営業債権ではありませんので、営業債権の場合と異なり、貸倒損失を営業活動によるキャッシュフローの区分において独立表示いたします。

これは、貸付金は総額表示されるので、売掛金などのように総額をそのまま振り替えて自動調整することができないこと及び投資活動における損失を営業活動によるキャッシュフローに含めないようにすることが理由です。

(借)長期貸付金 100       (貸)貸倒損失(C/F) 100

4.貸倒引当金(営業債権以外の債権に係る貸倒引当金)

前期末 当期増加 当期減少 当期末 増減額
回収 貸倒
長期貸付金 200 350 100 350 400 200

上記の貸付金の前期末残高に対して10%の貸倒引当金を設定していたとします。

前期末 当期増加 当期減少 当期末 増減額
回収 貸倒
貸倒引当金 20 20 40 20
貸倒損失 30

営業債権に係る貸倒引当金についてはすでにふれましたので、ここでは営業債権以外の債権に係る貸倒引当金についてみていきたいと思います。

営業債権に係る場合と営業債権以外の場合ととで、何が異なるかといいますと、貸倒に関連して、貸倒損失及び貸倒引当金繰入額などの非資金損益項目が発生しますが、これに係る処理が異なってきます。営業債権に係る非資金損益項目は独立表示しないというルールがあるために、売掛金及び貸倒引当金の増減を処理する中で、自動的に調整されるようにいたしますが、営業債権以外の債権に係る貸倒損失や貸倒引当金繰入額などの非資金損益項目は独立表示することとなっているために、その処理が異なってくるのです。

具体的な取引について会計上の仕訳をそれに対応するキャッシュフロー仕訳をみていきましょう。

①(借)長期貸付金   350    (貸)現預金        350

キャッシュフロー仕訳では投資活動に係る区分においては総額表示のため、貸付金の増加分を振替ます。

(借)貸付けによる支出(C/F) 350 (貸)長期貸付金      350

②(借)現預金      100   (貸)長期貸付金      100

キャッシュフロー仕訳では資金の回収(流入)として、貸付金の減少分を振替ます。

(借)長期貸付金    100 (貸)貸付金の回収による収入(C/F)100

③(借)貸倒損失      30   (貸)長期貸付金       30

キャッシュフロー仕訳では貸付金に係る貸倒損失は営業活動の区分において独立表示します。

(借)長期貸付金     30   (貸)貸倒損失(C/F)      30

④(借)貸倒引当金     20   (貸)長期貸付金       20

キャッシュフロー仕訳では資金の回収(流入)を伴わない貸付金の減少、貸倒引当金と相殺します。

(借)長期貸付金     20   (貸)貸倒引当金       20

⑤(借)貸倒引当金繰入額  40   (貸)貸倒引当金       40

キャッシュフロー仕訳では非資金損益項目として独立表示して、当期利益のプラスといたします。

(借)貸倒引当金     40   (貸)貸倒引当金繰入額(C/F)  40

以上の結果から、損益計算書とキャッシュフロー計算書を作ると以下の様になります。

損益計算書

貸倒損失     △30

貸倒引当金繰入額 △40

当期利益     △70

キャッシュフロー計算書

当 期 利 益     △70

③貸倒損失        +30

⑤貸倒引当金繰入額    +40

営業活動によるキャッシュフロー 0

①貸付けによる支出    △350

②貸付金の回収による収入 +100

投資活動によるキャッシュフロー △250

貸倒引当金は増加(キャッシュフロー計算書上の貸倒引当金繰入額のプラス)、減少(長期貸付金の減少との相殺)にバラして、キャッシュフロー計算書上に表示していきますので、営業債権に係る貸倒引当金の様に、増減差額をそのまま振り替える必要はありません。
名古屋の税理士 山田会計事務所へのお問い合わせ